歯科医の待合室_多動性のお子様編
左耳に手術痕を隠すようなベージュの粘着テープのついた少年は、建物の中に入ると共に飛び跳ねていた。
合理性のない飛び跳ねが何度かすればすぐに気づく。
多動性のお子様ですね
と
周りの人間達は、時折少年の奏でるメロディに目線を向けるだけで何を言うわけでもない。
一緒に来ている母親の様子から、日々の疲れを感じさせられる。
『誰も何も言わない』
少年はカートゥーンが流れているモニターを見てキャッキャと騒いでいる。
この空間では少年はまるで王様だ。
王様気取りかよ
私も多動性のお子様の3倍ぐらい暴れて、少年と一緒に遊びたいと思うのだけれど、
それはしない。
歯科医の待合室_クソイケメンのお子様編
母親の顔なんて見ない。
少年はカートゥーンが流れているモニターに興味津々だ。
母親は少年を溺愛してハグしている。
少年は母親の顔なんて見ない
少年は幼いながら、すでに顔面がクソイケメンであった。
こいつはやりおるな。
歯科医の待合室_クソ隠キャの少女編
祖母に連れられてきた少女。
どこで買ったの?40年前から来たの?
といったケミカルウォッシュのジーンズを履いた少女。
祖母の前だと、ひたすら髪の毛を触り続けているのが特徴的で、祖母が離れると触らなくなる。
これは興味深い現象だなと思った。
歯科医の待合室_可愛らしい少女編
まずお母さんが綺麗。
ゆえに娘も綺麗。
娘は多動性の暴れる少年をチラ見している。
お母さんは娘を抱きかかえる。
二人ともに歯科検診のようで、
離れる時、娘は「一人でも大丈夫!」とアッピールする。
多動性の少年は暴れている。
そしておっさんの私が一人。