映画『聲の形』|アニメーション制作:京都アニメーション 製作:映画聲の形製作委員会(京都アニメーション ポニーキャニオン 朝日放送 クオラス 松竹 講談社) 配給:松竹
何故かわからないが、劇中の遊園地のジェットコースターには安全バーは存在しない。
ジェットコースター初回の急降下中のワンシーンであるが、間違いなく飛び出てしまうであろう。
本作は物凄くリアリティのある描写や細かい伏線、背景美術に度肝を抜かれてしまうのであるが、このような単純なミスは作画監督が見落とすはずがない。
つまりこれは意図的な描写である。
では何故『安全バー』を描かなかったのか?
それは直前の佐原みよこのセリフから推測できるように感じた。
「怖いかどうかは乗ってから決める事にしたの」
安全バーが無ければ怖いというか死につながるのは明白であるものの、佐原みよこは両手を頭上に掲げている。
なんども言うが、通常この体制であれば車体から放り出されるに決まっている。
つまりは安全バーや手すりは人間関係に保身的であった自らのメタファーであり、そういったものから解放されたいという現れなのだ。
佐原みよこもまた、戦っていたのだ。
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