まずジブリ作品ではない
スタジオポノックというところが制作したアニメである。
作品の冒頭で、ポノックの表記がスクリーンに表示されて、「?」が頭に浮かんだ。
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バズフィードさんの記事を参照するに、ジブリ製作部解体の折、何やらごたごたしていたような雰囲気を感じる。ポノックは元ジブリの社員が設立したスタジオだそうだけれど、視聴者側からすると制作会社のごたごたなど知った事ではない。
そういえば、駿監督が再び作品を作るというニュースが飛んでいた
headlines.yahoo.co.jp
このニュースを見かけた時、「あー、また作りたくなっちゃったのね駿監督」としか思わなかったのだけれど、「メアリと魔女の花」を見た今だと別の意図を感じている。
おそらくこれは駿監督のスタジオポノックに対する叱咤激励なのではないか?と。
さて、話を戻そう。
ジブリ作品だと思い込んで劇場で見はじめた僕は、作品冒頭において別の制作会社という事を知り、軽く面食らいはしたものの、最後まで作品を見続けた。
エンドロール後のパートも無く、スクリーンど真ん中「おわり」の文字の後に、劇場のライトが灯る事を確認し、席を立ちあがった。
そして、僕は混乱していた。
「本作品が一体何を伝えたいのか分からなかった」からである。
☆まず設定が荒すぎる
- メアリが田舎暮らしになっている理由が謎
- ピーターとメアリの祖母宅との関係性が謎
- 「木苺のジャムが好き」なピーターという事しか分からない
- 魔女に対しての住民たちの認識が一切語られる事が無く魔女の力が発動する
- 世界観が具体化されていない
- 家政婦(バンクス)が喪服着て葬式か何かに行くっぽいシーンがあるけど、何も描かれない
- 魔法の花によって力が発動するらしいのだけれど、後半は関係なく力が持続している
…これは流石に説得力に欠けましたよ。
同じ列に座っていた子供が「まだ終わらないの…?」ってボヤいているのは少し辛いものがありました。子供にとっても退屈だったのように見受けられました。
劇場はお盆シーズンという事もあり、お客さんは沢山入っていました。沢山のお客さんが作品を見ていました。
しかしながら、反面教師という意味で捉えると、学ぶ所も多く、もしやそういった点についても織り込んだ作品なのかと考えてしまいましたが、そんなマイナスな埋め込み要素は不要ですよね。
☆作画・動画について
- 冒頭の魔女の花の種をもって逃げるシーンや、ホウキの荒ぶるシーンはとても躍動感があって素敵でした
- キャラクターが俯瞰で遠く描かれる箇所の作画の荒さが目立つ
- デフォルメのし過ぎでただの丸に色が付いたようなコマがあって、ちょっと手抜き感を感じた
- ぷるんぷるん天国を彷彿とさせる
☆演出について
- マダム・マンブルチュークの登場シーンが謎すぎる
- 水の表現を見せたかったのだろうか? その後普通に登場するんだけれど、意味は一体??
- 沢山の動物と共に移動するシーンは、よく書いたと思うのだけれど、このシーンの必要性が謎だった
- 大して動物たちと仲良くなったような描写はなく、急すぎるように感じる
- 「杉江三日伝説!」のオマージュだろうか?
- 終盤の実験失敗のシーンで、青い液体がドバーって流れ出すシーン
☆毒が無さすぎる
混乱の原因は特にこれである。
誰も死なず傷つかず物語は終焉を向かえる。
制御できないような魔法実験に手を出しても特に身体的な障害は何も無い。魔法の危険性を示唆しているわりに、リスクの代償を劇中では描写してはいない。
魔法から解放された動物達が何事もなく元気に復活する様が異様に感じた。
映倫が厳しくなったのだろうか…?
それとも製作委員会のスポンサー達の意向なのだろうか?
また、ギャグやお色気というものも存在せず、事なかれ主義的にひたすらに無難な物語が進行していき、印象的なものはほぼ存在しないまま終わっていきました。
これでは子供も大人もどこで楽しめば良いのか、何を感じ取れば良いのか分かりませんよ。監督さんは満足して作品を公開したのでしょうか??
☆気になったので少し調べてみました
filmers.jp
監督さんのインタビュー記事(全四回の内の第一回目[続きは記事中にLinkアリ])
…全部読んだけど、意図している事があまりにも僕は感じ取れていなくて「う、うん…?」という感じ。
movies.yahoo.co.jp
yahooのユーザーレビュー。
☆が多くついている人のレビューは興味深いの後で見てみよう。
cinema.ne.jp
相当に気遣いを感じるレビューの文面でリスペクトです!
スタジオポノックの次回作は僕も興味があります。
news.nicovideo.jp
やはりアニメご意見番の岡田斗司夫さんも語ってらっしゃいました。ナイスな岡田斗司節で語られており、共感できる内容で面白かった。
☆蛇足
www.youtube.com
↑↑↑
先ほど、本編見た後の僕が初めて予告編を見てみたのですが…
「何これ!めっちゃ面白そうじゃん!」
と思った。
気になった人は是非見てみてほしい。
私とは異なる見解になるかもしれない。
☆蛇足2
本作に対して、「皆はどんな感想を持つのだろうか」と、とても気になったので、twitterのTLや、yahooのユーザーレビューを漁ってみた。他の視聴者の意見が気になりまくるのは、良くも悪くも久しぶりの作品である。
「大金を投じて作り、プロモーションされた本作に対して人々はどう感じているのか?」
これは、劇場アニメーションの大衆の反応として、今後の業界にも影響する非常に興味深い情報であるように感じている。
以下に個人的に気になった項目をピックアップの上、コメントを記す。
- ポジティブな意見の人達
- 驚くことに、荒い設定の本作に満足している人達が少なからず存在する事が見受けられた
- いやマジで多いし、興行収入も調子が良いようで、全く理解できない。僕はとってもマイノリティーなのかもしれない。
- おじさん、おばさんには良さが分からないという指摘
- この指摘は子供を馬鹿にしているのではないだろうか?悪くはない作品ではあったものの、このレベルで良いとジャッジしていては、海外からそっぽを向かれ、ジャパニメーション文化は凋落の一途ではなかろうか?アニメーション文化に対する民衆の認識・素養はその程度であるという現状なのだろう
- 「お友達と映画観に行って来た♪楽しかった(*'∀'人)」という、内容如何に関わらずレジャー的消費物としての軽い称賛の声
- 「キャラクターが可愛ければ、背景や映像が綺麗なら満足」というミーハー層ではあるが、あらゆる業態において興行収入上、いなくてはならない存在である
- ネガティブな意見の人達
- マーニーや借りぐらしは良かったのに…という意見がいくつか見受けられた
- 「本当に米林監督作品なのか?」という、悲痛な書き込みがあり、僕はマーニーも借りぐらしも観ていないので判断できないのだけれど、対比した際に本作は大きく異なるという意見であった
- スタジオポノック第一作目というプレッシャーからの産物?
☆蛇足3
いくつかの記事やレビューにおいて、メアリは「米林監督のジブリとの決別を描いた作品」という、まことしやかな論評があり、考えさせられた。
うーむ。その考え方も面白いのだけれど、それにしたって中途半端だよね…。公式にそれを題材にしていると紹介しているわけでもないから、視聴者はそのテーマで意識共有できるわけでもないし。
メアリは確かにいろんなテーマを詰め込みたかったのかもしれないけれど、とにかく中途半端な作品になってしまって、勿体無さを感じる。
…
どうやったらメアリは面白くなったのだろうか?そんな事を考えながらトレーニングジムでシャワーを浴びてて、キャッチーなアイディアを思いつきました。
「メアリとパヤオの花」って題名にすると途端に面白くなる。
「パヤオの力を得る事のできる花」
そりゃマダムもドクターも欲しがるわけで説得力が出ます。
- 作者: メアリー・スチュアート,越前敏弥,中田有紀
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/06/17
- メディア: 文庫
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