☆吞み会の帰りに寄ってみた
会社の同僚が面白い店があるからと勧められた場所に遊びに行ってみた。繁華街ではなく住宅街に存在する平屋の白い箱状の建物がどうやら目的のお店らしいのだけれど、外観からはまったく店という感じがなく、何かの事務所のように感じられた。
☆白い箱の中身
中に入るとそこは学校の教室であった。いくつかの机と椅子が並べられ、黒板があった。
言われるがままに誘導された席に着いたものの、周りに座っているのは子供達だった。
向かいの席の子供が話しかけてきて気付いたのだけれど、いつの間にか僕も子供になっていた。彼らも同様に見た目が子供になっているだけで、中身は成人らしかった。
よくわからない現象ではあったが、これはこれで面白いじゃないかと思い、しばし談笑を楽しんでいた。見た目は子供なのだけれど、中身が成人であると、なんだか現実と乖離した変なキャラ立ち感があって、まるで教室内の全員がアニメキャラクターのようだった。
彼らもそれを判っていて楽しんでいるようだった。
「なるほど、そういう趣旨のお店なのか」
初めて入ったBarなどで割と直ぐに順応する僕なのだけれど、今回もそれを遺憾なく発揮し、ノリノリで楽しんでみた。気付けば向かいの席の奴と仲良くなったりしていた。
特に授業が始まるでもなく、オーナーと思われる女性以外は子供(中身は大人)達がわいわいやってる異質な空間だったが、不思議と安心できる空間だった。
☆閉店時間
眠くなってきたなと思い始めた頃、チャイムが鳴った。
子供(中身は大人)達はいそいそと帰り支度を初めていた。
気付けば深夜04:00を回っており、どうやら閉店時間のようだった。
「なんてこった。明日も仕事なのにヤバイ時間じゃないか」と、口に出しながらも随分楽しめたので僕は満足顔だった。
店を出ると姿が元に戻っており、他の客も大人に戻ったのかと気になったので振り返ろうかと思ったが、なんだかヤボだなと思ったので振り返らずそのまま帰路についた。
☆案の定寝坊
帰宅後、興奮のためかなかなか寝つけず、ようやく眠りについた僕は見事に寝坊をかまし、既に昼になろうとしていた。
急いでスーツに着替えていると財布が無い事に気付き、思い当たる所としては昨日の店しかなかったため、急いで取りに向かう事にした。
☆昼のアニメ倶楽部
店に着くと、オーナーが子供達に授業を行っており、夜とは異なる普通の授業を行っている光景は、ごくごく一般的な塾のように見えた。
オーナーに財布を忘れてないか確認し、無事に財布を見つけ、ほっと一安心。
☆違和感
店を出てしばらくすると、いつものように尻ポケットに入れた長財布の感覚が無い事に気付いた。どこかに落としたのだろうかと思い、歩いてきた道を戻っていると、再び尻ポケットに財布の感触が戻ってきた。
何かおかしい…。
もう一度お尻のポケットさすってみると、財布など入ってるはずもないスウェットの肌触りだった。
僕はiPadの目覚ましアラームによって、お尻をさすりながら夢から覚めたのだった。
出社時間ギリギリだったので、急いで会社に向かった。